ライアン・フランシス作曲 Tri Cantae

NYのコンテンポラリー・ミュージックシーンを牽引する「21世紀型オーケストラ」、メトロポリス・アンサンブル(Metropolis Ensemble)のオンラインシリーズに参加させていただきました。

ジュリアード音楽院で出会った作曲家ライアン・アンソニー・フランシスの作品は、クラシック音楽のみならず、ジャズやポップス、エレクトロミュージックの影響を受けています。ピアノ作品は、プリペアドピアノ等の特殊な奏法を使わずに、ピアノ従来の奏法にこだわって書かれています。これまで日本で沢山初演をさせていただく機会に恵まれました。

今回のビデオで演奏したトライ・カンテ(Tri Cantae)は初演から10年経ちましたが、自分の中でも曲の捉え方が随分変わりました。

ぜひこちらのリンクよりお楽しみください。

2011年の自主リサイタルのプログラム・ノートより:

今日のリサイタルのためにライアン・フランシスが書き下ろした作品です。”Tri Cantae”とは、教会音楽として古くから使われたカンタス・フィルムスと、イギリスのテクノユニットAutechreの3枚目のアルバム”Tri Repetae”をもじった題名です。低音部の旋律を基として、3声部で書かれています。低音の旋律は一番速い4分音符、他の2声は2分音符、全音符と倍ずつ遅くなります。旋律が少しずつ移調することによって、音楽の垂直性が消えてゆきました。曲を通してペダルを踏み続けるのですが、衰退してゆく音と次の新しい音が微妙に混ざり合い変化してゆくように意図されています。大きな音の雲がゆっくりと流れていくだけという感じの瞑想的な音は、ニューヨーク出身の作曲家モートン・フェルドマンの作風と似ています。